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山道が途切れた時、その前方に広がっていた木々がなぎ倒されていることに気が付いた。


木々は根元から千切られていたり、引っこ抜かれて倒れていたりする。


人間の力でできる技じゃなかった。


人間ならチェンソーなどの道具を使うため、引きちぎられたような跡は残らない。


あたしは異様な光景に唾を飲み込んだ。


恐怖を感じないように努力していても、どうしても恐ろしさを感じてしまう。


あたしの後ろをついてくる梓の呼吸も、だんだん荒くなってきたのがわかった。


雲はさっきよりも分厚くなっているようで、周囲は真夜中のように暗い。


スマホの明かりでどうにか歩けるくらいだった。