周囲を見回してみても、あたしを見つめている人はどこにもいない。


「叔父さんと叔母さんがいなくなって、ちょっと気が立ってるんじゃないか?」


透にそう言われ、あたしは曖昧に頷いて歩き出した。


そうなのかもしれない。


自分では平気なつもりでいたけれど、手や頭が食べられるシーンを間近で見たのだ。


なんらかの影響が出ていても不思議じゃなかった。


2人がいなくなってくれたことが嬉しすぎたから、今まで平気だったんだと思う。


透と一緒に雑談をしながら教室へ向かうと、夕夏が走って近づいて来た。


その顔は青ざめている。


「どうしたの夕夏?」


「このニュース、見て!」


そう言ってあたしと透に見せて来たのは、スマホニュースだった。


登録しておけば、毎日ニュース番組を教えてくれるアプリだ。