輝久の体は魂のない人形のようにバウンドを繰り返した。


「輝久!」


下まで落ちてから、あたしはようやく立ち上がることができていた。


だけど、体中が震えてうまく歩く事ができない。


階段の手すりを使いながら一段一段ゆっくりと下りて行く。


輝久は目を閉じてピクリとも身動きをしない。


その頭部からジワリと血が流れ出していた。


「ひっ」


打ち所が悪かったようだ。


あたしは青ざめてその場に立ち止まってしまった。


早く、誰かに知らせないと。


先生に言わないと!


そう思うのに、体が震えてうまく動けなかった。