「…うん。あんな人、何処を探してもまず居ないと思う」


私も、神妙な顔で頷いた。



私もお母さんも、離婚したお父さんを基準として男性を見てしまっている。


私のお父さんは、冷静に考えても人としてどうなのかと思ってしまう程酷かった。


最も、今お父さんが暮らしている所からして“やばい”と誰もが感じるだろう。



「それでね」


お母さんは、また話を続けた。


「キムさんも、私と付き合い始める少し前に離婚してて…。お互い、凄く気が合ったの」


“お父さん”とは違って優しいし、“お父さん”とは違って笑顔だし、“お父さん”と違って喧嘩した時も“お父さん”よりは怖くないし…、と、明らかに離婚したお父さんと比較しながらキムさんの印象を教えてくれる彼女。


「彼にも、離婚相手との子供が1人居てね。…男の子だって言ってたっけ…瀬奈、もしお母さんが再婚したら、兄弟が出来るの」


確か瀬奈より年上だった気がする、と言うお母さんに、私は、


「うん……」


と、曖昧に頷いた。


確かに、お母さんからお付き合いしている人の話は何度も聞いた。


レディーファーストな行動を沢山してくれたというデートの話も、少し聞いた事がある。