私の家は団地にあり、その中でも1番家賃が安い所だ。
お母さんは昼も夜も仕事詰めで、定時に帰る事はほとんどなく、いつも残業。
朝起きてから夜寝るまで1度も姿を見ないという日も、もちろんあって。
そんな彼女は、お父さんと離婚してからしばらくは“恋”を遠慮していた。
けれど、私が中学2年生の時から、お母さんはまた新たな男性と付き合い始めていた。
私はその男性と1度も会った事はないし、話した事もない。
けれど、たまにお母さんがその人の話をしてくれて。
凄く、幸せそうな顔をして。
その会話の内容から、お母さんがお付き合いしている人は離婚したお父さんとは真逆で、とても優しい人なんだというイメージはついていた。
だから私は、
「うん、知ってる」
と、頷いた。
「…で、その事でね」
そこで、お母さんはふっと息をつき、一息に次の言葉を吐き出した。
「お母さんね、そのお付き合いしている人……キムさんと、再婚する事にしたの」
その言葉の直後、長々しい沈黙が私達を包んだ。
彼女は、私の反応を待っている。
それに対して、私は。
(ん、“キムさん”?えっ、もしかして韓国人なの?)
(いや、今はそれどころじゃないよね!再婚!?何、再婚ってどういう事?)
お母さんは昼も夜も仕事詰めで、定時に帰る事はほとんどなく、いつも残業。
朝起きてから夜寝るまで1度も姿を見ないという日も、もちろんあって。
そんな彼女は、お父さんと離婚してからしばらくは“恋”を遠慮していた。
けれど、私が中学2年生の時から、お母さんはまた新たな男性と付き合い始めていた。
私はその男性と1度も会った事はないし、話した事もない。
けれど、たまにお母さんがその人の話をしてくれて。
凄く、幸せそうな顔をして。
その会話の内容から、お母さんがお付き合いしている人は離婚したお父さんとは真逆で、とても優しい人なんだというイメージはついていた。
だから私は、
「うん、知ってる」
と、頷いた。
「…で、その事でね」
そこで、お母さんはふっと息をつき、一息に次の言葉を吐き出した。
「お母さんね、そのお付き合いしている人……キムさんと、再婚する事にしたの」
その言葉の直後、長々しい沈黙が私達を包んだ。
彼女は、私の反応を待っている。
それに対して、私は。
(ん、“キムさん”?えっ、もしかして韓国人なの?)
(いや、今はそれどころじゃないよね!再婚!?何、再婚ってどういう事?)