｢僕は、元々韓国人の女性と結婚していたんだ。だから、僕の名字はその女性の名字だし、僕の子供は全員日本と韓国のハーフだよ。あっ、もちろん韓国語だけじゃなくて日本語も話せるから安心して。……読み書きは、今1歩だけどね｣


そう言って、苦笑いを浮かべるキムさん。


その様子から、キムさんが自分の息子を大事に思っている事が伝わってくる。


キムさんの息子さんは、さぞ幸せで、きっとキムさんの事を尊敬している事だろう。


私と一緒で親の離婚を経験したにも関わらず、こんなにも素晴らしい父親と暮らせているのだから。



もちろん、私もお母さんと住めるのは素直に嬉しい。


けれど、もしお父さんがキムさんの様な人だったら。


家の外でも、私の事を笑顔で他の人に紹介出来る様な、私の欠点をオブラートに包んで説明してくれる様な、そんな人だったら。


私も、お父さんと過ごせる時間を宝物の様に感じる事が出来て、お父さんの事を尊敬する事が出来たかもしれない。



｢私、……その息子さんが、羨ましいです…｣


咄嗟に、声が出ていた。


｢えっ？｣


反応したのは、キムさんではなくてお母さん。


｢どういう事？｣


次に聞いてきたのは、キムさん。


｢えー、っと……｣