「話したけれど、優作の口からも一応言って欲しくて」


「ああ、分かったよ」


以外にもあっさり、キムさんは承諾して。


そしてふっと私に向けられた瞳は、人を射殺す様な目付きではなかった。


(あっ……)


お父さんとの件があってから、私は成人男性と目を合わせる事を意図的に避けてきた。


お父さんに洗脳されていた私は、全ての男の人は、他人-特に女子-を見る時は睨み付けるものだと変に考えていたから。


けれど彼の目は、私をその辺に捨てられたゴミの様には捉えていなかった。


二重で、綺麗な濃い茶色の色をしている彼の瞳は、凄く、凄く、温かくて。


まるで、全てを柔らかく包んでくれるかの様なその優しい目付き。


ようやく彼をきちんと見れたおかげで、気付く。


鼻も私よりも高くて、目も大きくて、少し色素が薄そうな髪の毛は染めた事がないのか、ここから見ても傷んでいない。


キムさんの顔が、凄く整っている事に。


そんな人にそんな目で見られて、逆に勿体なくなってくる。


(私……)


何故か、思わず涙が零れそうになって、私はそれを誤魔化す様に背筋を伸ばし、彼の話を聞く姿勢をとった。



そんな私を見ながら、キムさんは口を開いた。


「えーっと、何から話せばいいんだか…。じゃあまずは、僕の話をするね」