そう思いながら学校へ行き、授業中もずっとキムさんやお母さん、キムさんの子供の事等を考えていたから、全く授業内容は覚えていない。


私の通っている学校は私立だから、予習復習はもちろん、授業内容もきちんと理解していないとついていけないのに。



そして、瞬きをしていたら終わってしまった全ての授業。


こういう時だけ、時間の流れが早く感じるのはどうかと思う。


放課後。


お母さんに、


『今日はキムさんが来るからね。…確か、息子さんは来なかったはず…。うん、キムさんだけ。だから、今日は学校が終わったら早く帰ってきてね』


と言われていたから、私は入部している吹奏楽部を欠席して家へと直行した。


帰り際も、仲の良い友達とすら会話せずに。



帰りの電車の中でも、当たり前の様にキムさんについて考え込んでしまう。


(どんな人なんだろう…)


いくらお母さんから聞いていると言っても、聞く事と見る事では大違いだ。


百聞は一見にしかずとは、まさにこの事。


(キムさんって、何歳位かな…)


やはり、再婚するとなると相手の年齢も知りたいところだ。


お母さんの今までの会話の内容から推定するに、キムさんは年下ではなさそうだった。


それに、年の差婚も今では普通になってきている。