「ねえ、 どうせ付き合えない、ってどーゆー意味?」

さっぱりわからないから、結局訊いてみた。

「いや、俺、お前に1回フラれてるから」

「んんん?? 私が和希を? いつ?」

そんな記憶全くない……そう思って尋ねれば、

「ルリ、前に『私がコイツと付き合うわけないでしょ!』って言ったもん」

和希は口を尖らせた。

そんなこと言ったっけ?

…………ああ、言ったかもしんない。

あれは確か、2年の春。

クラスの男子に「和希とバンビって仲いいよな。付き合ってんの?」って大きな声で訊かれて、恥ずかしくてついそう答えたんだった。

そういえば、あの頃から和希は、それまで断っていた告白を、殆ど断らなくなった気がしなくもない。

「いや、あれはなんていうか……誤解? てゆーか、照れ隠し?」

「はあ? 俺があれで、どれだけ傷ついたか!」

「ええっ……なんか、ごめんね?」

……まさか私のせいで、和希が来るもの拒まずになっていたとは。

てゆーか、私があんなこと言わなければ、もっと早く両思いになれてたってこと?

なんてこった、凡ミスだ。

「ま、仕方ないから許してやるよ」

和希は笑った。

それから、壁の時計をチラッと見て、

「今日はさすがに、部活サボろっかなー」

そんなことを言いながら、今度こそ、私にキスをした。

まあ、結果オーライだ。