「和希、私の好きな人、そんなに知りたいの?」

「そりゃーね。だって俺とルリの仲じゃん?」

どんな仲だよ。

人の気も知らないで。

友達? 腐れ縁? そんな仲なんて、もうおなかいっぱい。

無意識に、ハアー、と深いため息が漏れた。


──好きになったのはいつだっけ?

もうそんなの忘れちゃうくらい、ずっと和希のことが好き。

彼女を作ってはフラれを繰り返す和希の一番近くで、行き場のない気持ちを抱えたまま、気の合う友達してきたけれど。

それも今日で終わり。

だってムカつくんだもん!

私の気持ちに全く気づきもしないで、いつもいつも甘えてさ。

アンタが後ろを振り返る度、私がどれだけドキドキしてんのか、わかってる?

アンタがフラれて、私が毎度「よかった」ってバカみたいに胸を撫で下ろすの、知ってる?

いつか、和希をフラない女子が現れるのが……それがどんだけ怖いか、わかってんの?


「好きなんだよね」

口にしてみたら、「おなか空いた」って言うのと同じくらい簡単で、今まで言えなかったのが不思議なくらいだった。

でも心臓は、痛いほどバクバクいってるけど。

「うん、だから誰を?」

「和希」

「…………は?」

和希のこんなに間の抜けた顔、初めて見たかもしれない。