私も一応女子なんだから。間接キスとか、もう少し気にしてくれてもいいじゃん。

あと、部活はどうした、エース様よ。

「ところで和希、部活は?」

壁の時計を指差しながら私が尋ねると、和希は

「フラれた傷が癒えたら行くわー」

と、また泣き真似をして言った。

なんだそりゃ。

「そんなことよりさ、さっきの話」

「ん? なんだっけ」

「ルリに彼氏できない話」

「できないって失礼過ぎるだろ!」

「つか、好きなやつくらいいねーの?」

「え、いるけど?」

さらっと答えると、

「えっ?! いんの??」

和希は目を丸くした。

いやいや、私高3よ? 好きな人くらいいるから。

「……自分で訊いといて、そんなに驚かなくたって」

「誰?! どこのどいつ? このクラスのやつ?!」

食い気味に、ちょっと身を乗り出しながら訊いてくる。

そんなに食いつくなんて思わなかったから、ちょっと面食らった。

「え、そんなの、別に、」

別に和希には関係ないでしょ?

そう答えようとしたけれど、やっぱりやめた。

……こんな話、急に振ってきたアンタが悪いんだからね。

全然、言うつもりなかったけど。

気が変わっちゃった。

無神経に、「彼氏できない」とか言うし。

好きな人いるって言ってみれば、「誰? 誰?」って興味津々で食いついて、ゴシップじゃないっつーの。

それに、私のメロンパン食べちゃったし。

女扱いしてくれないし。

ムカつく。

ムカつくから、もう言っちゃう。