雨の降る夜


湊は痣だらけで雨に打たれていた


生憎秋だから隠せると思い腕で顔を庇ったんだろう

誰にやられたかなんてすぐに分かる。

湊は完全にあの人の所有物として扱われていた。
こんなの冗談じゃない。湊が悪いのではなく、あの女の婚約者の仕業なのに

どっち道、あの会社は穴だらけだ。すぐに潰しておこう
借金でも背負わせて地獄を味わわせてやる






湊は子猫を抱きながらうずくまって泣いていた

俺は要らない、そう呟いていた。
強く抱き締めて冷たい湊が少しでも暖かくなるようにすると湊の顔が緩んだ


長い睫毛からは雨が滴ってる

いつも以上に色っぽい。流石人気が高いだけある



…私はあなたに手を伸ばしたって届かないのに
湊の発言にすら怒りを覚える