柊さんは唇を離すと何事もなかったかのように化粧品を取り出して化粧をし始めた







え?これはどんな間なの?



「…」

『…』

「湊、もう少し顔上げて」

『は、はい』



観覧車は随分と高い位置に登っていた。今のキスはカモフラージュだと結論付けた



『はぁ~。もう驚かせないでよ。でも、ありがとね。美代子さんにバレたらもう俺…』

「…」

『…ね、ねぇ、柊さん』

なんか、柊さんは喋らないし嫌な雰囲気が続いてるみたいでやだな






「…あなたはどうしたいんですか?」

『何が?あ、もうすぐ着きそうだよ』

「…」




ドアを開けたくて立って待っているとチクッとした痛みが一瞬した

振り向くといつの間にか後ろに立ってた柊さんの顔が近くて驚く


触れてしまいそうな距離







『柊、さん…俺』


俺には美代子さんがいるじゃん


でも、美代子さんと俺の関係って何?

でも、そうしたら俺って何なんだろう…。

だって、柊さんだって情報を掴むためにこんなことしてるんだよ?
わかってないなんてバカじゃんね






「お疲れ様でしたー!足元お気を付けて降りてください」

『わぁ!』


軽快なお姉さんがドアを開けてくれて思わず柊さんに慌てて抱きついてしまった







ダメだ…。

こんなじゃ…俺落ちちゃう…。




早く柊さんと離れないと…。