ベッドの上に寝転がった仁は、感情任せでユキに無理やりキスをしたことを今頃になって後悔していた。

 トイラに負けたくないと思ったことが引き金となり、ユキに自分の気持ちを押し付けてしまったが、それは暴力と同じだと反省していた。

 でもこの時こんなこと考えている暇はなかった。

 一刻も早く手を打たなければ、手遅れになってしまうかもしれない。

 自分の携帯を出して、叔母の良子に電話した。

 それは柴山と連絡をとるためだった。

 ジークとの取引きには柴山の協力がかかせない。

 仁の頭の中にはユキを救う青写真ができていた。

 良子と電話が繋がれば、柴山はすぐ傍にいて難なく会う約束が取り付けられた。

 とんとん拍子に事が運ぶ。

 仁はやるしかないと覚悟を決め、ユキを助けたい一心で柴山に会いに行った。