ジークを呼ぶトイラの声が森中に響き渡る。

「何をそんなに慌ててジークを探しているんだ」

 キースがトイラの異常な行動を心配して出てきた。

「俺、決めたよ。森の守り主になるよ。そしてユキをこの森の住人にする」

 その声は興奮しきっていた。

 一刻も早く森の守り主にならないといけないかというように。

「ジークの言葉を全て信じるつもりか。僕はどこかまだ信じられない」

 キースはどうしても否定的になってしまう。

 トイラをなんとか説得しようとしていた。

「キース、今の俺にはこれしかない。ユキも同意している」

 キースはユキの顔を見た。

「ユキ、君も本当に望んでいることなのか」

 ユキの目も真剣だった。

 キースに力強く『うん』と首を縦に振った。

「それなら、僕も一緒に行く。この目で本当か確かめてやる。もし違ったら、容赦なく阻止するからな」

 キースは事の全てを全部見てやろうと、敢然たる態度でトイラに忠告した。