「キース、どうしてだ?」

 トイラが叫んだ。

 キースはすぐさま人の姿になって、ジークに睨みをぶつけて責め出した。

「こいつは嘘を言っている。何か企んでいる。騙されるんじゃない」

「もう、いやですよ、キースは。慎重深くて、いつも石橋を叩いて渡るんですから。でもキースも知ってるでしょ。森の守り主は緑の目を持つ白い大蛇だと言うことを。私が選ばれた証拠にこれを見て下さい」

 ジークは懐から何かを取り出して見せた。

「これは、蛇のうろこ。しかも白くて大きい。まさか」

 キースの目が見開く。

「私はこれを森の守り主から授かりました。どうです?これで信じて貰えますか?」

 分かりやすいほどにキースが面食らって黙り込み、ジークは誇らしげに胸を張る。

 ふたりのやり取りを見ていたトイラは、これですっかり信じ込んでいた。

「それじゃ、俺が太陽の玉を守る森の守り主になれば、ユキをこっちの世界に呼べるんだ」

 トイラの顔が明るくなる。ジークも調子に乗って囃し立てた。

「それだけじゃないですよ、トイラが望むこと全てが可能になる」

 突然邪悪な笑みでニヤリと笑うジーク。

 その笑みはキースを不快にした。

「望みが全て叶うだけの太陽の玉を持つということは、それなりの森の守り主になる資格がないといけない。一人の望みだけを叶えるものではない。全ての森の調和を取らなくてはならないはずだ。生半可な気持ちでは森の守り主になれる訳がない」

 キースは正論を述べ、訝しげな顔を露骨にジークに向けた。