その晩のこと。

 冬空の夜、星があまたに輝く空の下で、息を白くしながらトイラはジークを探した。

「ジーク、どこにいる」

「はいはい、ここに居ますよ」

 コウモリのジークがパタパタと羽をばたつかせ、トイラの前で人の姿になった。

「森の守り主について詳しく聞きたい」

「そうこなくちゃ。やっぱりあのお嬢さんの件でしょ」

 「えへん」とトイラはそれを聞くなと牽制するように一回咳払いをして話し出した。

「一体どこからその情報を仕入れた」

「森の守り主、本人からです。偶然森の守り主の巣穴というのか、この場合、太陽の玉があるから、神殿ですね、そこに入り込んでしまって、そして直接話をしたということです」

「本当かそれは!」

 トイラは驚きを隠せない。

「はい。私はこの場合、森の守り駒としてメッセンジャーの役割を頂いたんですよ。そうじゃなければ、誰がこんな話知ってます? 森の守り主は全ての森の守り駒のことを把握して、そしてそれを時には自らの意思で動かすことができる。なんせ私達は駒なんですから。私はそれに選ばれて、そこへ導かれたんですよ」

 ジークは真剣にそのときの様子をトイラに話せば、トイラは興味深く聞いてすっかり信じ込んでいた。

「トイラ! そいつの話を信じるな」

 突然銀色の毛皮の狼がふたりの前に現れた。