「さっきから、いろいろな小物が目についたんですけど、これもしかして、おばさんが作られたんですか」

 お茶が入ったポットにも、簡単に冷めないように、かわいらしい布で作られたカバーで覆われていた。

「そうよ、裁縫が趣味なの。服も作るのが好きなのよ」

「うわぁ、すごい。私、裁縫は苦手です」

「あら、でも料理は得意なんでしょ。仁から聞いたわ」

 ユキは、仁がどこまで自分のことを母親に話したのだろうと、ちょっと怖くなってきた。

 クラスで嫌われてるとも言ったので、カップを持ちながら、ちらりと仁を横目でみた。

「僕、変なこと言ってないよ」

 仁はユキの考えていることがわかったみたいで、ボソッと答えてお茶を飲んでいた。

 ユキは思わずお茶を噴出しそうになった。

 母親はその光景をみて微笑んでいた。

「あっ、そうだ。ユキちゃんにも何か作ってあげる。ちょうどかわいい生地があるの」

 そういって一度部屋を出たかと思うと、奥からピンクの水玉の生地を持ってきた。

「これで夏のワンピース作ったらかわいいわ。ねぇ、私に作らせてくれない」

 突然のオファーにユキは目を白黒させていた。