自分には何かが欠けている。
 外国であれ、日本であれ、どこにも属さない、中途半端な存在。

 自分の居場所を見つけられなくて、いつも排除される――と思ったとき、ふと違和感を覚えた。

 ユキは自分の居場所を見つけた事がある。 

 ずっと探していたものを見つけ、そしてそれは自分を包み込んでくれた。

 孤独だったユキの心を埋めたもの。

 それはなんだったのだろうか。

 それがあったから、強くなれたのに、それがすっぽり消えているように思えてならない。

 何か大切な事を忘れている……様な気がする。

 思い出そうとしたとき、無意識に痣のある胸を押さえ込んでいた。