「怖いんでしょ?」


友美が含み笑いをしている。


これまでいじめられるだけで、いつも苦しげに耐え忍んでいたのに__あんな顔、するんだ。


私だけじゃなく、誰もが驚いている。


「犬の分際で!」


駆け寄ってくると、怒りに任せて手を振り上げる。


今にも叩(はた)かれそうなのに、友美は由佳を見上げて視線をそらさない。


それがまた由佳の怒りに火をつける。


思い切り頭を殴る__寸前で、悪魔がその手を止めた。


「ここでは暴力は認められない。相手をねじ伏せたかったら、サイコロで勝負しないと」


「__わかったわ」


投げたらいいんでしょ?と、唇を噛み締める。


未知瑠たちがサイコロを投げ、マス目を進んでいくのを見よう見まねで由佳もサイコロを受け取った。


「犬にだけは負けないから」


友美に宣戦布告し、由佳がサイコロを投げる。


出た目は⑥だった。


「ほらみなさいよ!」


得意げに6マス進んだ由佳だが、まだこのゲームの恐ろしさが分かっていない。


足元のマス目が剥がれ、文字が浮かび上がる。


「__はぁ⁉︎」


由佳が素っ頓狂な声を上げた。