「ちょっと、なんなの⁉︎」


由佳はそう言って、真っ先に友美に突っかかる。


だが、その前にすーっと降り立った悪魔を見て固まった。


「夢?」


「違うよ。君はこのリアル人生ゲームの新しいメンバーに選ばれたんだ」


「リアル、なに?」


「それは仲間に教えてもらえば?」


悪魔がまた私を見る。


それに促され、由佳が私を見た。


【池岩由佳】


その名を、私はためらうことなく書いた。


これは、私を怒らせた罰なんだ。


「仁科さん、これは一体なんの冗談?」


スタイルのいい由佳が、上から見下ろしてくる。


これまでずっと、そうやってきたのだろう。


でも__ここでは通用しない。


「サイコロを投げて出た目だけ進む。ゲームをしているの。ただし、ここでのことは現実で起こる」


「なに寝ぼけたこと言ってんのよ」


「やってみれば分かるわ」


「冗談じゃない。帰るわ!」


ふんっと、背を向けて屋上から出て行こうとする由佳に__。


「怖いの?」


私はてっきり悪魔が行く手を遮るかと思ったのに、声を掛けたのは友美だった。


それも、小馬鹿にしたように。


由佳が振り返る。


その表情は、鬼みたいに険しかった。