「光莉、俺じゃだめか?」
ベッドの上であぐらをかいて座っている彰が、私の目を真っ直ぐ見つめながら言った。
「亮平たちがああなったから言うんじゃない。俺は前から光莉のことが__」
「ちょっと待って」
少し大きな声で、彰を遮る。
亮平は、私に隠れて浮気していた。その相手は未知瑠だ。私はひどく裏切られた。許せない気持ちがまだ大きくて__。
「気持ちは嬉しいけど、今は考えられない」
それが精一杯の答えだ。
私の今の、正直な気持ちだった。
彰と付き合えば、私を全力で守ってくれるだろう。
でも今は__そんな気になれない。
まだゲームが終わっていないし、まずは板垣のことを守り抜かなきゃ。
「ゲームが終わったら、答えを聞かせてくれるか?」
「__うん」
肉食の彰らしいと思いながら、頷いた。
悪いことばかりじゃない。
このゲームが終われば__楽しいことが待っているかもしれない。
もう、亮平とヨリを戻すことは考えていないし。
ただ、黙って未知瑠に引き渡すのが気に入らないだけだ。
「あぁ、腹へった」
「全部、食べちゃダメだから」
「ニンジンだけ残してやるよ」
「ニンジン嫌いなの?」
「あれは、ウサギが食べるやつで、俺たち人間が食べるもんじゃ__」
そこまで言った時、爆発音とともに地面が揺れた。