「僕は全部に指令書を使えなんて一言も言ってないし、後先考えずに使い切った君たちが、自分で招いた結果さ」
ふわふわと宙に漂いながら、悪魔が言った。
それはとても残酷な、死刑宣告。
「うそ、だろ?」
板垣が、膝から崩れ落ちる。
それを後ろから支える彰だったが、ほかのみんなは遠くを見つめていた。
呆然とゴールを見ていたんだ。
私も含め、こう思っているに違いない。
まだゴールまで半分近く残っているのに、指令書が無いなら、どうすればいい?
悪いことを回避することができない。
いや、本当にできないのか?
「明日、車で轢かれないように、私たちで守ろう!」
私の言葉に、板垣がはっと顔を上げる。
そうだ、私たちは指令をクリアすることに夢中でなにも試していなかった。
確かに指令を破れば、悪いことは現実になる。
でも__そもそも、悪いことから逃げようとするだけで、防ごうとはしていない。
【車に轢かれる】というなら、外に出なければいいじゃないか?
私たちの力で、現実を変えることができるかも。
「よし、みんなで守ろう。運命を変えるんだ!」
彰の声は、とても頼もしかった。
きっと、運命を変えてみせる。