桜「ハァ、ハァ、ハァ...。もっと迷子になったな」



さっきの場所から結構走ってきたから...。


周りにはキャンピングカーみたいなジュース屋と
子供用のジェットコースターがあるけど、
大きな目印にはならないよなぁ...。



桜「悪い、律佳。へーきか?」



隣で俺よりも息切れをしてる律佳を見つけ、
俺は慌てて声をかけた。



律「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ...う、ん」


桜「いや、大丈夫じゃないだろ。ここで待ってろ」



俺は急いでジュース屋で飲み物を買い、律佳に渡した。


律佳は遠慮がちにそれを受け取り、ゆっくりと飲んだ。


時が経つにつれ、少しずつ落ち着いていった。



桜「落ち着いたか?」


律「うん...。ありがと」


桜「いーよ。急に走らせたのは俺だしな」


律「桜舞、足速いんだね」


桜「んなことない。あれは...俺も必死だったから」



気づけば俺の手が時間差なのか、今になって震えていた。


フラフラと倒れ込むように律佳の隣にしゃがみこんだ。



律「さ、桜舞!?」


桜「へーき...。いつもの、ことだから」


律「今度は桜舞が大丈夫そうじゃない」


桜「大丈夫」


律「大丈夫じゃない。これ、飲んで」



律佳は俺が買った飲み物をほぼ強制的に俺に渡した。


俺は仕方なくそれを飲んだ。


あれ、律佳ってこんなに話す奴だったけ...?



桜「ありがとな」


律「ううん...。お礼を言うのは、俺、だから」