我ながら鈍臭過ぎる...。


辺りを見回しても、いるのは他人だけ。


どーする...。


下手に動けば、もっと迷うだろうし。


それに、人集りの中を1人で歩くのは、
俺にとって地獄をさ迷うのと等しい。


とりあえず、あの飛行機の近くにいよう。


俺はゆっくりと歩き出しながら、飛行機の所まで戻り、
隅の方でしゃがみこんでいた。


そうしていた方が、幾分か気分が楽だった。


李利のことだから、多分この遊園地内でも
いくつかの知り合いを見つけると思う。


そしたら、ここの場所、分かってくれる。


つくづく俺は李利に頼りっぱなしだな...。


ホント情けない...。


はぁ...っとため息をつきながら、項垂れる。



「キャー!イケメン!ねぇねぇ、私たちと遊ばない?」



高い猫なで声が耳に響いて思わずビクッと震えた。


女の対象が俺でないことを確認し、少しだけ安堵する。


声の主を探すと、ガッツリと化粧をした20代くらいの
女たちだった。


うわぁ...。


俺は絡まている奴を同情した。


ふと視線を上げて被害者を見つけると、俺は息を呑んだ。


それは律佳だったから。