徠「なぁ、桜舞」


桜「なんだよ」


徠「お前...女が苦手なの?」


桜「は?」


徠「いや違ってたら悪いんだけど。
なんか妙に嫌がってるなって思って。
さっきだってそうだったし。
俺たちのこと避けてたのも女が群がるからだと
考えればつじつまは合うしさ」


桜「...」


徠「言いづらいなら別に言わなくてもいーよ。
そこまでしてお前のこと知りたいわけじゃねぇしさ。
玲空とかなら話は別なんだろーけど」


桜「...かもな」


徠「今んとこ、俺の勝手な空想だしな。
変なこと聞いて悪かった。
大丈夫、俺は他の奴らには言わねぇよ」


桜「...あぁ」



2人で並んでパンを食べながら、
俺は隣でうつむいている桜舞の顔を盗み見た。


途端に息を呑む。


桜舞が驚くほど辛く悲しげな影を背負っていたから。


でもだからと言って本人が話したくないことを
無理矢理話させる訳にもいかない。


そういうのが1番本人にとって嫌だと言うことなのを
俺はよく知っている。


律佳がそうだから。


俺は一旦一息おいてから、桜舞に話しかけた。



徠「そういや、この学校って文化祭を秋にやるんだな」


桜「え、どこも同じじゃないのか?」


徠「俺たちの元いた学校は春だったんだ」


桜「へー、地域によって違うんだな...」


徠「それ、俺も思った」


桜「俺はどっちでもいーけど」


徠「秋にあった方が体育祭と被って楽しくないか?」


桜「別に俺、そんな行事好きじゃないし」


徠「楽しまなきゃ損だぜ?何事も」


桜「お前は能天気だな。玲空みたい」


徠「いやいや...。あいつの天然ボケは
誰にも真似できねぇよ。あと、あのお人好しさも」


桜「...そっか」



納得すんのかよ。


俺はクスクス笑った。