扉を開ける音にびっくりし、入り口を見ると…


金…髪…?


さっきユリと話していたばかりの、金髪の1年生が入ってきた。


どうしてここに…?


そう思っている私の気持ちはお構い無しに、彼は私の方に来て、


「…本、返しに来た。」


と言って、カウンターに一冊の本を置いた。



…え?
今日入学式で何で本を…っていうか何故この第1図書室に…。


帰ろうとしてるその子に、私は咄嗟に声をかける。


「…あ、あの!!」


何、とでも言いたげに彼が振り向く。


その振り向いた彼の顔が、目鼻立ちが綺麗で、目が離せなくなりそうだった。
不覚にもかっこいいと思ってしまう。


「あ、えっとね。多分、この本は第2図書室だと思うよ…?それと、この本はいつ借りたの…?」


私の言葉に彼は驚いたのか、一瞬目を開いた。
が、すぐに私のところに来て、

「第2図書室ってどこにあんの?あー…その本は3年前に俺の兄ちゃんが借りたまま返してなかったから持ってきた」


…近くで見るとかっこよさが増す…。
何故かドキドキしてしまう。


「3年前なら第2図書室だよ、場所は二階。ここは第1図書室で、今は全然使われないから…」

「そうなんだ、サンキュ……えっと…名前なんて言うの?」

「…え?あ、白石…です。」

「いや名前聞いてんだけど、下の名前。白石先輩って呼ぶのやだし」

いや白石先輩でもいいんだけど…。
なんか逆らえない空気…。

「……美穂。」



「美穂…か。美穂先輩じゃあね、また来る。俺の名前は海斗。覚えとけよな。」


そう言って、彼は第1図書室を出て行く。




…海斗くん…か。
何故か、海斗くんから呼ばれたことにドキドキしている。
っていうかまた来るって…明日は水曜日だから私行かないけど…。

美穂…って呼んだ海斗くんの顔が、声が、頭から離れない。

ぼーっとしながら教室に戻り、午後の授業を終えた。