「大丈夫?寒い?」



真っ白の視界の目の前に突然現れたスマホ。
スマホの持ち主は心配そうにわたしを見ている。



どうやらボーッとしてたみたいだ。



ニコリと笑って、スマホをポケットから取り出す。



『ごめん。
雪って珍しいから見入ってた。』



彼に画面を見せる。
その光景を見てた、周りの人達は不思議そうにこっちを見てる。



私達は、話せないわけじゃない。
言葉が発せないとかそういう障害は決してない。




強いと言うのであれば、言葉の障害。
我ながら上手いことを言ったと思う。



わたしの隣に座るのは、イタリア人の大好きな彼。
年は私より9歳年上の27歳。
そして、わたしのバイト先の社長さん。



バイト員と社長さんが付き合ってるなんて知られたら面倒なことになるから私たちの関係は秘密。



わたしの高校の友達でもこのことを知ってる人はごく僅か。
彼のことを話せる人が少ないのは少し寂しいけど、辛いとか苦しいとかは全然ない。