「はいっ!」

私の目の前に観覧車のチケットがつき出された。
前を向くと、満面の笑みで一輝がこっちを見ている。

「ん?」

訳がわからずキョトンとした表情で一輝を見返すと、すごく当然というように、こう言われた。

「え?だって俺高所恐怖症じゃん?だから観覧車乗れないじゃん?だからよろしく!」

……。
……………え!?

つまり私と遠藤君で2人きり!?
一輝はそれが狙いだったの!?

「次の方、どうぞー」

もう呼ばれちゃってるし……今さら後には引けない。
困惑する遠藤君とともに、私は観覧車の中に入っていった。