廊下に出ると聞きたくなくても桜子の話題が耳に入ってくる。

「ねぇ、桜子。遠藤と付き合ってるのってホント!?」
「そんなー、付き合ってないよぉ!」
「その言い方は付き合ってるな!」

桜子は何人かの友達に囲まれて、質問攻めになっている。

遠藤君も男子たちから冷やかされている。

やっぱりこれは本当に付き合ってるのかな?
不思議と涙は出てこなかった。

頭の中で勝手にこの状況を理解しているみたい。でもやっぱり信じることができなくて、ため息がこぼれる。