それを聞いて、私はとても驚いた。
(そっか、空にも苗字はあるもんね。今は言えないって言われていたけれど。)
きっと、25日に会えなくなる私に対して、苗字を名乗るのは良くない。
自分を探す手がかりを作ってしまう、そう考えたんだろう。
「空って、いい名前だね!」
いつの間にか泣いていた幼い私は笑顔になっていた。
「うん、いいでしょ!ほら、上を見てみてよ」
つい私も上を向く。
「あの空はね、晴れる時もあれば、曇りの時も、雨の時もあるんだ。でもね、同じ空なんだよ!」
幼い私は、口をぽかんと開けて上を見上げていた。
「だから僕もね、どんな僕でも僕なんだ。人はみんなそうなんだよ!悲しんでいても、嬉しくても、後悔していても、どんな自分でも自分なんだ!」