「ねえ!大丈夫?」


少し遠くから聞こえる声。



泣いていた子どもはパッと顔を上げた。


「誰?誰かいる?」



その顔を見ると、すぐに誰かわかった。


「ああ、私だ。」


小さい時の私だったのだ。



ザッザッと足音が近くなってくる。私は隠れることなくその場に立っていた。


「ねえ、大丈夫?泣いてたよね?」



その声も、顔も、違うようで同じだった。私は知っている。


「空…」