私は校門を出たあと、走った。


自分の気持ちをかき消すかのように、とにかく走った。


自慢の肺活量が悲鳴をあげた所で、ゆっくりと止まり、呼吸を整えた。


なかなか整わない呼吸とともにふと前を見ると、見慣れない景色が広がっている。



「…森?」


後ろを振り返ると、いつも目印に歩いている大きなマンションが見える。



帰ろうと思えば難なく帰られるのだろう。


だが今は、そんなことよりも目の前に意識が向いていた。