じーっと空を見つめていると、空が手招きをした。


「登ってきて」


私は少し驚いたが、脚立をおさえる手を離し、一段一段登っていく。


空に差し出された手を握り、脚立の1番上、空の真横に来た。


「これ、戻して。」

そう言って、長針を差し出される。


「これを戻したら、力強く、回してほしいんだ。反時計回りに。」


意味がわからないこの状況だが、これをすれば過去に戻るのだろう、そう思った。


「俺も正直、どうなるかはわからないんだ。でも、絶対に危ないことは起きないよ。信じてほしい。」


「信じるに決まってる」


私は空の目を見て、頷いたあと、長針をもどした。


「じゃあ空、いってきます」



「いってらっしゃい、シロ」



その言葉を聞いてから、私はゆっくり、しかし力強く、針を回した。