「んじゃ、名前教えてよ。」


名前を教えることなんて、今年の入学式以来だろう。


「三神 白(みかみ はく)です。」


「ハクって、なんて書くの?」



いきなりの質問に戸惑う。こんなに長く会話を続けたのは初めてかもしれない。


「色の、白って書きます。」


「それじゃあ、俺は シロ って呼ぶね。他にもそう呼ぶ人いる?」


まさか、呼ぶ人なんていない。


そう思ったが、過去を振り返ると。


「1人だけ、だいぶ昔ですけど、いた気がするんです。全く覚えていないけど…」



彼はニコッと笑ったように見えた。そうして、

「そっか」

と一言。



少し気になったけれど、間髪入れずに相手が話し出す。