私は、奇跡的に軽傷ですんだ。でもその代償として、記憶を失った。

「だからね、僕のクラスにいる矢神君が幼稚園から一緒だったこと覚えてないでしょ?」

え?えぇぇぇぇぇ!?

「そ、そうなの?」

そういえば、弥生にキレた時に、ボソリと何か呟いていた気がする。

「僕はあーちゃんが退院してからすぐに喋りかけたから今でも覚えててくれてるけど、矢神君とは喋ってなかったでしょ?」

言われてみるとそんな気がしないでもない。

「これが全部だよ。」