「うそ……………」

この目の前の看護師に言いたいことは山ほどあった。
でも喉がぐっと締め付けられたように、声が出せない。

「幸一君、集中治療室だから、これから面会はご両親以外出来ないんですよ。」

どうしてこんなにも淡々と言うことが出来るのか。
人が死ぬかもしれないという状況になっているのに。

「あの・・亜香里ちゃん?」
看護師が私の顔を覗きこむ。

「・・・ですか?」
「え?」 

私は看護師に飛び付いた。

「こう君が悪化したっていうことですか!?」

看護師は私の腕を冷静に振りほどいた。

「認めたくない気持ちはわかるけど、今は落ち着いて。」

そう言うと看護師は去っていった。