「きゃ〜〜蜂ぃ〜蜂が飛んでる!!!」


英語の授業中に前田 麻由子が天井に指をさしながらいきなり叫びだした。


教室が少しざわめき始める。


「そんなの、窓から勝手に出ていくの!!座りなさい」

と担当の松井が迷惑そうだった。


「きゃ〜〜こっちに来るな〜!!」



次は藤本が叫び始めた。
どうやら、蜂は楽しんでいるようだった。




『いいぞ〜その調子だ!!』


すこし、蜂を応援してしまっていた俺。


藤本はなぜか俺の方を見ながら叫ぶ。


そんな藤本を無視しながら俺は黒板に書いてある問題をノートに写した。



前をみると、視界に絶対入ってくる坂田。



坂田も俺同様、藤本を無視しながらノートを写していた。




さすが…坂田!!



すると、蜂は坂田の頭の上に飛んできた!!



「華ぁ〜!!上、うえー!」

前田がそう坂田に伝えると、坂田は上に顔を向けた。

「うわっ!!!」


小さく叫んで、落ち着きながら席を立った。


そして、蜂をまるでハエの様に手で放っていた。


「華うけるぅー!!」

藤本が手を叩きながら笑っていた。
藤本の周りにいる女子達もケラケラ笑っていた。




天然そうな坂田を見ていて、なんかすごく可愛く思えた。




蜂はそんな坂田に負けたのか、窓から逃げるようにしてどこかへと飛んでった。



「はい、じゃあみんな授業に戻りますよ」


そう松井が言うと、坂田は席に座り、ノートをとり始めた。




やっぱ好きだな…


改めて思ってみたりした。