…あんなに開かなかった本が、いとも簡単に開いた。そして、目を開けていられないくらいまぶしい光が本の中からあふれ出してきたんだ。僕はその光の正体を見たかったけれど、光がまぶしすぎて、目を開けられなかった。何とか、目を開こうと、僕がまぶしさと戦っていると、何だか小さな音が聞こえてきたんだ。それと同時に、まぶしさもあまり感じなくなってきた。僕は、おそるおそる目をあけた。」

「本の中には、何があったと思う?そこには、小さな小さな町が出来ていたんだ。びっくりしたよ!それは、小高い丘のようなものの上に出来ている町だった。町の真ん中には太い道路が走ってて、それが整然と細かく枝分かれして、町の隅々まで広がってた。そして、丘の一番高いところに、青く光る不思議な石で出来たような美しいお城が建ってたんだ。そして、その町は全体がかすかに白みがかった透明なドームのようなもので覆われてた。その精巧なことといったら、まるで本物の町みたいだった。僕はすっかり夢中になった」

ディアナは、突然何かがきらめきながら脳裏に浮かぶのを感じた。ディアナは目をつむった。

かすかに白みがかった透明なドームで覆われている大きな町。そびえたっている大きな青いお城。

お城は、光を受けて、あたり一面にさん然と光を放っている。

アレセスの話す光景が、まるで一時停止した画面のようにはっきりと見えた。

はっきり見えたといっても、自分の目で実際に見えているようではなく、言ってみれば自分の脳の中にある目で物を見ているような感じで、それは夢で見ている感じにも似ていた。

「そのすばらしい町をもっとよく見ようと、顔を近づけてみると、その町の中に何か小さなものがあったんだ。目をこらしてよく見ると、それは人間だった。この小さな町の中には、人間もいたんだ。それも動いていた。まるで、生きているみたいに、動き回っていた。僕は、驚いて虫メガネを持ってきて、見てみたんだ。そしたら、その小さな人々は、道路を歩き回ったり、建物の中に出たり入ったり、そのドームの中で色々なことをしているみたいだった。それから、飛行機に乗っているわけではないのに、飛び回っている人もいた。」