警告は届くことなく、りょうたは耳をグイグイ引っ張られている。
「いで、いででっ」
あぁかわいそう……夢にうなされて苦しんでるから優しくしてあげて……
「いたいぃ……」
さすがに痛かったのか、眉間にシワを寄せながら目をあけた。
「寝てんじゃねぇぞ」
そう言うイケメンのおでこや頬は赤く、髪もぴょんとはねている。
……あんたもぜったい寝てただろ
「んにゃ……けーちゃんも寝てたでしょ」
「俺は一秒失神してただけだよ」
「あー……ふふ、ばか……それ寝てるでしょ」
気のせいか、このイケメンと話す時のりょうたはなにか違う気がする。
……きっと仲いいんだ
休憩の間にじゃれあいにきたのだろう。
空には分からない話を始めたので、ふいっと目を逸らした。
なんとなくケータイの電源をつけて、ひとりで勝手に落ち込む。
さっきはうっとおしいくらい送ってきたのに……
「……っ」
いやいやっべつに!?