「っっ〜〜……」



天然ちゃんに今キスをした、背の高い黒髪男子。


……誰かがキスしてるところ生で初めて見た


周りの友達に茶化されても、全く気にしてない、ふたりだけの世界。

幸せオーラが溢れてる。


……あの子可愛いもん

そりゃ彼氏の一人や二人ぐらいいるよ…………いいなぁ……



ーー愛されてて



ゆっくり視線を落としたとき



「青笑さん具合悪い?」



名前を呼ばれた。

心底びっくりして、ひゅっと心臓が浮いた感覚になる。

なぜかりょうたは、心配そうに空を見ていた。


え……いつから見られてた?



「大丈夫……です」

「そっかぁならよかった」



あくびをしながら伸びをするところを見ていると、さっきのは見間違いなんじゃないかって思えてくる。

たぶんきっと、隣の席だから。


知らなくていいことまで気づいてしまう。