たまにチラッと合う視線が最高に気まずい。

なんか言わないと……っなんかぁ〜〜


……好きな食べ物ってなに?

趣味はなんですか?

最近はまってることは?


……やばいやばい町中インタビューみたいになってる


あぁせっかくさそってくれたのに……とりあえずなにか……せめて名前だけでも……っ



「あの」 「あのっ」



声がきれいに重なり、気まずさMAX。

ふっと頭が真っ白になった。



「あっ青笑さんからどうぞ!」

「……あっ……えっと……」



……なに言おうとしてたっけ



「……」「……」



テンパって忘れた。


なんだっけ。あぁ空のアホ、アホぉ〜〜


ついに女の子はピタリと立ちどまった。


へっ……嫌われたっ?



「つ、ついたよ!じゃぁねっ」

「あ……っ」



逃げるように教室の中に走っていったその子は、遠くで友達に囲まれて頭を撫でられている。


そう……そうだよね

怖かったよね、ごめん。

空なんかに話しかけてくれて、ありがとう。


心の中で祈るように呟いてから、重い足を動かす。

ずっとここに立っていたら通行の邪魔になる。