あたしは、楠木 柚葉。恵まれない子供...。

あたしの父は、DVと呼ばれる、暴力を奮ってくるような人で。でも、お金持ちだから、誰もお父さんを逆らえない。一方お母さんは、幼い頃に両親を無くし孤児院みたいな所で預けられてたらしい。

あたしが小さい頃は、仲良く4人で日々過ごしていたのを覚えている。でも、ある事がきっかけで、お父さんは、変わってしまった。
それは、あたしの弟、"りく"の死だった。

りくは、あたしと2歳差の男の子。でも、りくが中三の時、ヤンキー仲間のバイクの事故を起こして、一命は取り留めたものの、帰らぬ人となったりく。

それからめっきり変わった父。未だに信じられずに、あたしや母に暴力や暴言を吐かれる日々。

ある日、お父さんがいない時に、お母さんに本音を話した。
「ねえ、お母さん?もう警察に言おうよ…?」
「...ゆずちゃん?何言ってるの...」
お父さんの事だと察したお母さんは、いきなり青ざめた顔をした。
「もう、もう警察に...った!」
...言おうよ、と、その一言を遮られた。
「ゆずちゃん...ゆずちゃんなら分かってくれるわよね…?お母さんはね、あの人がいないと、生きていけないのよ?あの人が捕まったら、私は、どうすれば…どうすればいいの...?」
「そんなの知らない!もう、お父さんもお母さんも知らないから!!!」

ありったけの金をバックに詰めて、あたしは家を出た。