「で?何しに来たの」
「ちょっと野暮用です」

山田のクラスにいる私の友人K子。
私は全6クラスにそれぞれ1人から2人位友人がいる。それはまぁ後々説明するとして、このクラスにはK子ただ1人だ。

「野暮用って何よ」
「”山田”ってやつ知ってる?」
「知ってるも何もうちのクラスの奴じゃない。あんたなら知ってんでしょ?」

呆れたように私を見下ろすK子。私は高身長のK子を見上げて答えた。

「嫌まぁそいつ自体は知ってるよ?私が聞きたいのはそこじゃなくて、そいつはどんな奴なのかって事が聞きたいの。」

「またネタ探しか」とため息をつきながら答えるK子はやはり私の事を(恐らく)1番理解している親友だ。流石は小学一年の頃からの大親友、何でもお見通しなようだ。

「どんな奴ねぇ」

顎に指を当て、「んー」と悩んだ末に出た答えが

「軽いノリのお馬鹿さん?」
「...どういうこと?」

「どういうも何も」と説明しずらそうにするK子に何となく察しがつく。

あぁ、良く考えたらK子はあんまり人とはコミュニケーションをとらない主義だった。しかも人間観察は苦手な方だ。

そんなK子がここまで出せたんだ、凄い進歩だろう。

「ありがとK子、助かった。」
「別に大丈夫だけど、あんたも程々にしときなよ?」

「まぁ昔っからだから今更治んないだろうけどね~」
とスカートを翻して教室へと入っていくK子。

K子と話している間、ずっと此方を見ていた彼が恐らく”山田”だろう。雰囲気からしてK子が言っていた事もあながち間違えてはいないようだ。

「よし、少しずつ探ってみよう」

もうすぐ授業のチャイムが鳴る。
私は急いで教室へ入り、授業の準備を進めた。