見惚れている。とゆう事実さえ俺は認識出来ないほど見惚れていた。

『おや?驚かせちゃったかな?』

呆気に取られていた俺を見ながら、悪戯っぽく笑みを零して折っていた身体を起こす。つられて黒く長い髪も背中へと戻っていく。

『それで?少年は何をしているの?』

尚も言葉を忘れていた俺に彼女は問いかけてくる。

「ちょっと、おじさん!」

唐突に彼女の声の質が変わる。同じ高い声には違いないが、持っている雰囲気、柔らかさが別物だった。

「ねぇってば!」

「なんだ、またお前かよ」

目の前には10年前の彼女ではなく、少女が不機嫌な顔をして仁王立ちしていた。一昨日とは違い、少し風が吹けば下着が見えてしまいそうな程短いスカートをはいている。

「なんだじゃないわよ!何回呼んでも無視して!」