私と勇気先輩の2人っきりなった。

  少しお互いに何を話せばいいのか分からなくて沈黙してしまった。

 少したってから先輩が話した。


 「まさか、母さんのこと知ってるなんてね。」

 「そんなには会ったことないけど、凄く綺麗な人だったから覚えてるし、
 由美姉ちゃんが亡くなったときも葬式に来てくれていたから。」


 「そっか…。

 実はさ、俺、まさか由衣が俺の父親の仕事場で働くと思わなくて驚いたわ。

 けど、由衣が溜め込んでいたことも知ってたし、これからは…

 なんかあったら言ってほしい。

 1人で抱え込んで欲しくない。」


 今までにない力強い言葉だった。

 けど、そんな気持ちは私には届いてなかった。


 店長が取り合えず戻ってきたが、光根さんと一緒ではなかった。

 「光根さんは?」

 「まだ先生と話してるよ。」

 「そうですか…。
 店長は勇気先輩と私が知り合いって知ってたんですか?」

 私は気になってることを聞いてみた。

 「うーん。
 履歴書みたときは同じ高校ってことは知ってたけど、まさかの顔見知りとは
 知らなかった。」


 「そうなんですね!」


 「今日は疲れたと思うしゆっくり休みなさい。
 お見送りは不要だからね。」


 「そうとはいかないので、させて下さい。」

 「ダーメ!今回ばかりは休んで!」
 勇気先輩にデコピンされた!
 痛くないやつ!

 「分かりました。ゆっくり休みます。
 お休みなさい。」

 私はベッドの上でバイバイしてすぐに行った後、夕食が出て歯磨きしてすぐ寝た。

 寝てる間にどうやら看護師さんが点滴してたみたいうだが全然気づかなかった。


 そして翌日。
 また店長がきた。

 何の話と思いきや。
 店長の養子として入るということ。
 その手続きの確認をしにきたそうだ。

 それでいいのかって言う、本人の確認だった。

 「はい。そちらが迷惑でなければ宜しくお願いします!」

 「迷惑じゃないよ!きてくれるのが嬉しいから!」