勇気先輩がお見舞いに来ていたらしい。
私は後ろから抱きしめられるまで気づかなかった。

私は良く分からなかった。

勇気先輩は後ろから抱きしめながら「好きだ」と急に告白してきた。
私にキスをしてきた…。

今までに見たことない勇気先輩の真剣な顔だった。


もし勇気先輩と付き合ったら迷惑かけるだけやから…。


「先輩の気持ちは嬉しいです…。
けど…。」

「けど…。
俺といたら俺が悲しむからか?

そんなに周りに迷惑かけたくないのか?

なんでもっと周りに助けを求めないんだ?」


そんな質問攻めにされたら怖いって思ってしまって私は固まってしまった。


「ご、ごめん…。

けど1人で抱え込むなよ。

麗美ちゃんや岩丸君も心配してる。

友美だってそうだ。

みんな、由衣の味方だ。

確かに、俺は由衣の気持ちは分からない。

けど分からない分、愛を教えてあげたい。

まぁ後は岩丸君かな。

この間、告白されたんだろう?」


私は頷いた。

「けど、断った。

それはなぜ?」


「……。」

私は応えることが出来なかった。


「それも迷惑掛けたくないのと、家庭環境を知られたくなかったからか?」

「うん…。」