そうだ、嫉妬だ。私、吉田さんに嫉妬したんだ。
勝手に嫉妬して、怒って......、
「最低だ」
大好きな人を、傷つけてしまった。
迷惑だなんてそんなこと、ただの一度も思ったことはないのに。
あの場から逃げる言い訳がほしくて、思ってもないことを言って、先輩に、あんな顔させて......。
自分への不甲斐なさから、すっと頬を伝った涙が地面にこぼれ落ちる。
俯きながら、家までの道を歩いた。
あの日から、北條先輩はぱたりと教室に来なくなった。
「おっはよー香織!」
「おはよ、朱音」
全く接点がなくなって、一週間が経った日。
知り合う前に戻っただけなのに、胸にぽっかりと穴が空いたような寂しさを感じていた。
できることなら、一週間前に戻りたい。
北條先輩の気持ちが私と同じくらい大きな気持ちじゃなくても、一時の気の迷いで も構わないから......もう一度、やり直したい。
こんなことになるなら、一度でも、好きだって伝えればよかった......。