「香織、昨日はありがと〜」



登校するなり私のもとへ駆け寄り、抱きついてきた朱音。



「ぐるじい、はなじで......」

「あ、ごめんごめん!やっぱり持つべきものは親友ね〜」



そんな都合のいいことを言う朱音にため息を吐きつつも、怒る気はなかった。

昨日は、残ったからこそ北條先輩と過ごせたわけだし、むしろ感謝しないことも、ない。



『僕は、香織ちゃんの全部に惹かれてる』



昨日北條先輩に言われた言葉が、何度も頭の中でこだまする。


思い切って聞いてみて、よかった。

ずっと悩んでいたことがきれいさっぱり消えて、心はとても軽かった。

心から好きだと言われたみたいで嬉しくて、昨日はよく眠れなかったくらい。

私もいい加減、自分の気持ちを伝えなきゃいけないなと思う。


先輩はいつだってちゃんと、伝えてくれたんだから。