駅に電車が入ってきてことで風が起きた・・

高橋の長い髪がハラハラと乱れた。
彼女は手で髪を押さえながら
電車をじっと見つめている。



その彼女を俺が見つめる。


不思議な子だった。


つかみどころがなくて、なんていうか
生活感が全然、感じられない。
すっごいお金持ちと言われればそう、見えるし
すっごい貧乏って言われればそう見える。


高橋のすべてが謎だった。


俺はただの興味本位なのか、高橋のことを
知りたいと単純に思ったんだ。



入ってきた電車の扉が開き
高橋が乗り込む、

「ねぇ、乗らないの?」


「え?」


プッシュー・・・

扉が閉まる音で、俺は自分が電車側じゃなく
ホームにまだ立ってることに
気付いて、慌てて乗り込んだ。


ギリギリセーフ・・・・